就職活動

情報過多時代にすべての声を聴くリスクと自分を守る「スルーする力」

Akatsuki

10年で530倍になった情報量と古い美徳のミスマッチ

総務省のデータによると、1996年から2006年までの10年間で、選べる情報量は約530倍にふえました。
(出典:総務省「情報流通センサス」)

かつては他人の言葉をていねいに聴くことが、地域や職場での正しい生存戦略でした。
しかし、24時間いつでも見ず知らずの他人の声が流れ込んでくる現代では、その真面目さが自分を追い詰めます。
すべての言葉を正面から受け止めると、心が摩耗してしまうのが現代の構造です。

「選ばないこと」への罪悪感を解消する防衛策

子供のころからのしつけにより、人の言葉を無視してはいけないと思い込んでいる人は少なくありません。
真面目な人ほど、入ってくる情報を聞き流したり、遮断したりすることに強い罪悪感を抱きがちです。

しかし、現代の過剰な情報社会において、スルーすることは不誠実ではありません。
自分の心を守るための、能動的な防衛策です。
自分をモヤモヤさせるものに、無理に誠意を尽くす必要はありません。
あふれかえる強い言葉から意図的に耳をふさぐことは、現代を生き抜くための知恵です。

「ひきこもり」は内なる声を育てるサナギの期間

社会的には停滞やひきこもりの期間はネガティブに捉えられがちですが、これは外部のノイズを完全に遮断するために必要な時間かもしれません。
親の価値観や社会からの要求を遠ざけ、自分の内なる声を育てるサナギの期間

子供のころから刷り込まれた親の言葉を手放すには、莫大なエネルギーが必要です。
真面目な人ほど移行期に激しくつまずいてしまいますが、それは構造的に深く納得がいく現象です。
葛藤を経て自分で考え抜き、痛みを伴いながら獲得した軸こそが本物になります。

若者に自己責任を押し付ける大人の課題

本来、先を生きる大人の仕事は、若い世代の可能性や選択肢を増やすことです。
若い人が新しいことに挑戦するときには、必ず失敗がセットでついてきます。
その失敗のコストを大人が引き受けて回収するからこそ、若者は安心して挑戦できます。

しかし現実には、自分の地位を守るために若者を都合よく使い、失敗を自己責任にする大人が目立ちます。
若者に完璧さを求め、自分たちは上げ膳据え膳を求めるのは大人の傲慢さです。
自己責任論を押し付ける中高年世代のダブルスタンダードが、若い世代を萎縮させています。
大人がバックアップする側に回らない歪んだ構造が、挑戦を阻む原因です。

今、目の前に起きている課題を、その瞬間だけでジャッジするのではなく、その課題を引き受ける覚悟を社会や大人が見せていくことこそが、これからの社会を左右する大人の課題です。

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